【クアラルンプール共同】岸田文雄首相は4日、訪問先のフィリピンの議会で演説し、国際秩序の維持に向け、東南アジア諸国連合(ASEAN)各国との連携を強化する考えを表明した。「自由で開かれたインド太平洋」の実現へ決意を示した上で「国際社会を分断と対立ではなく協調に導き、自由と法の支配を守り抜く」と述べた。
日本の首相がフィリピン議会で演説するのは初めて。
首相は、ロシアのウクライナ侵攻や中国の海洋進出を念頭に「国際秩序は重大な危機にさらされている」と指摘。国際社会が分断されるのを避けるため「誰もが尊厳を持って生きられるよう平和で安定した世界を築くことが不可欠だ」と強調した。
新型コロナウイルスが国際社会の分断と格差を拡大させたとして、日本も資金を拠出する「ASEAN感染症対策センター」への支援継続を言明。ハード、ソフト両面で各国のつながりを強化するため、民間資金も動員し、ASEANの強靱(きょうじん)性や持続可能性を高めると訴えた。
12月に東京で開催する日ASEAN特別首脳会議で「持続可能で繁栄した新たな時代を共につくるためのビジョンを打ち出したい」と説明。
ASEANやオーストラリアとの脱炭素の連携枠組み「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」首脳会議も併せて開き、地球規模の課題で協力する意向も示した。
首相はその後、日本が支援するマニラの地下鉄建設現場や、日本が供与した沿岸警備隊の船舶を視察。4日夜にマレーシアに到着した。
5日はアンワル首相と会談し、安全保障やエネルギー協力を強化する方針を確認する。
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国際秩序維持へ連携強化 岸田首相 比議会で演説
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琉球新報朝刊
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