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飲酒事故防止 良心に訴え 山梨 脱ワーストで園児がメダル


飲酒事故防止 良心に訴え 山梨 脱ワーストで園児がメダル 飲酒運転の防止を保護者に訴えるメダルを作る園児ら=9月、甲府市
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 飲酒運転事故の全国ワースト返上に、山梨県警が意気込んでいる。都道府県別の人口10万人当たりの飲酒人身事故件数が、今年に入り8月末時点で3.24件と平均の1.18件を大きく上回り全国最多を記録。即効性ある対策を講じるのが難しい中、「ワースト県」との深刻な現実を積極発信し、ドライバーの良心に訴えかけようとしている。
 県警によると、今年は新型コロナウイルス感染症の5類移行などを受け、外出が増加。7月に昨年1年間の20件を早くも上回り、8月末時点で26件に。2018年と21年も全国ワーストで、「上位」の常連となっている現実に危機感は根強い。
 県警交通企画課のまとめでは、飲酒で摘発したドライバーの約6割は「注意すれば大丈夫だと思った」と回答。県警幹部によると、タクシーや運転代行業者がコロナ禍で減ってつかまえにくくなったとの説明や、バスなど公共交通機関が少ないとの言い訳を口にする人もいた。この幹部は「同様の条件でも飲酒運転が少ない地域はたくさんある」と認識の甘さを断罪する。
 そこで県警は、運転手の心理面に働きかける取り組みを強化。記者会見や各警察署のイベントで、ワースト県であると繰り返し強調し、意識してもらうよう心がけている。
 甲府署で9月下旬にあった催しでは、保育園児が保護者の似顔絵を描いたお手製のメダルの裏に「おさけをのんだらうんてんしないでね!」とのメッセージカードを貼って贈った。担当者は「飲酒運転をしたらどうなるか、メダルを見て冷静になってほしい。かわいい子や孫も守れなくなる」と話す。
 県警幹部は「酔って判断力が低下することもあると思うが、事故の被害者だけでなく家族の人生も狂いかねない選択はしないように」と強調した。