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誰もが楽しめる洋菓子を 札幌に専門店 アレルギー、菜食対応も 


誰もが楽しめる洋菓子を 札幌に専門店 アレルギー、菜食対応も  洋菓子専門店「CHaT(チャット)」2号店の店頭で商品を手にする柴田愛里沙さん=札幌市中央区の「札幌三越」
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 札幌市で、乳製品や卵、小麦粉などを使わず、アレルギー体質の人やビーガン(完全菜食主義者)、イスラム教徒でも食べられる洋菓子の専門店「CHaT(チャット)」が人気だ。同市出身の経営者柴田愛里沙さん(33)は、自身がアレルギーに悩んだ経験から「体質や食文化、宗教の違いを超え、みんなが一緒に食卓を囲める社会をつくりたい」と話す。
 米粉や豆乳を使ったスコーン、アーモンド由来のスポンジで作られたケーキ―。札幌市中央区の店には、果物が盛り付けられるなどし、見た目が華やかな商品が約20種類並ぶ。柴田さんは小麦アレルギーがあり、幼い頃から食べ物に気を使ってきた。ただ、甘い物は大好きで「いつか誰もが楽しめるお菓子屋を開きたいと思うようになった」。
 東京の大学に進学し、物理学を専攻する傍ら、ケーキ店でアルバイトし菓子作りの基礎を学んだ。卒業後、広告会社勤務を経て起業の準備に着手。乳製品や卵の代替品を探し、新たなレシピを考えるのに苦労したという。ドイツ人の祖父を持ち、何度か現地を訪れたことがあり「ビーガンやムスリムが多く、日本に比べ食の選択肢が豊富。大きな影響を受けた」と語る。
 2018年、札幌市で念願の1号店を開業。食事に制約のある人だけでなく、美容や健康に気を使う客からも好評を得て、22年秋には市中心部の百貨店「札幌三越」に2号店を出した。
 今後は一般のカフェやレストランにも自社の食材を提供していく計画だ。「食を通じ、世の中には多種多様な人がいることに気付いてもらうきっかけになれば」と願いを込めた。