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防空ミサイル 輸出議論へ 自公、非殺傷は全装備容認 あす協議再開


防空ミサイル 輸出議論へ 自公、非殺傷は全装備容認 あす協議再開 自民、公明両党実務者協議のポイント
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 防衛装備品の輸出ルール見直しを巡る自民、公明両党実務者が、安全保障面などで協力関係の深い一部の国に対して地対空ミサイルなど防御目的の武器の輸出解禁を議論する方向で検討に入った。より幅広い相手先に、殺傷能力がない装備の輸出を全面的に認めることも調整。現在は「警戒」など非戦闘目的の5分野に限って輸出を認めており、いずれも大幅な緩和となる。複数の関係者が6日、明らかにした。 (3面に関連)
 自公は内閣改造で休止していた実務者協議を8日に再開。12月にも意見集約し、政府に防衛装備移転三原則や運用指針の改定を求める考えだ。ただ、戦闘機を撃ち落とすミサイルといった武器の輸出は国際紛争を助長しかねない。世論や国会への説明もなく閣議決定などで解禁すれば、反発も強まりそうだ。
 防御目的の武器を巡っては、日本にとって重要なシーレーン(海上交通路)に位置する国の海洋安保能力を高めるため、護衛艦や哨戒機の輸出も議論する方向だ。
 現在、輸出が認められる「救難、輸送、警戒、監視、掃海」の非戦闘5分野には、地雷処理とドローン対処、教育訓練を追加する方針。政府は8月の協議で、5分野に該当すれば殺傷能力のある武器を搭載していても輸出可能との見解を示しており、これを容認する。
 さらに、殺傷能力がない装備の輸出を全面的に可能にするのは、防弾チョッキや観測装置などが念頭にある。昨年、ロシアに侵攻されたウクライナへの支援として防弾チョッキを提供する際、5分野への当てはめが困難だった経緯を踏まえ、分野の限定は難しいと判断した。殺傷能力がある武器を構成する部品も、全て輸出を認める。
 8日の会合では、国際共同開発する装備品の扱いを議論する。
 

 防衛装備移転三原則 安倍政権下の2014年に閣議決定された防衛装備品の輸出や供与に関するルール。以前の武器輸出三原則に基づく禁輸政策を撤廃し(1)禁止する場合の明確化(2)認める場合の限定と厳格審査(3)目的外使用や第三国移転の事前同意義務―を掲げた。運用指針で、安全保障協力関係のある国には救難、輸送、警戒、監視、掃海の5分野で輸出可能とした。政府は昨年12月に決めた国家安全保障戦略に制度の見直し検討を明記。これを受け自民、公明両党は今年4月に実務者協議を始めた。