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解散請求「受け入れぬ」 旧統一教会 被害補償最大100億円


解散請求「受け入れぬ」 旧統一教会 被害補償最大100億円 記者会見する世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の田中富広会長=7日午後、東京都渋谷区の教団本部
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の田中富広会長は7日、東京都渋谷区の教団本部で記者会見し、元信者らへの被害補償が必要になった際の原資として、60億~100億円を国に供託する意向を表明した。国に制度設計を求めたが、首相官邸幹部は「受け取る法的根拠がない」と実現に否定的な見解を示した。 (3面に関連)
 田中氏は冒頭で「このような事態に至ったことは深く反省をしている。心からおわびする」と頭を下げたが、補償を求める元信者らへの謝罪ではないとした。政府の解散命令請求には「信教の自由、法の支配の観点から到底受け入れることはできない」と述べ、教団として改めて全面的に争う姿勢を示した。
 田中氏は金額の根拠として、全国統一教会被害対策弁護団が集団交渉で教団に請求している総額が約39億円であることを踏まえ「念のため100億円」と語った。
 教団の総資産額は明らかにせず「解散命令裁判が確定するまでは、資金の海外移転は考えていない」と説明。海外移転を懸念して議論されている財産保全のための立法については「必要性は全くない」と強調し、警戒感をにじませた。供託は「不安をお持ちの方のため」とした。
 弁護団は潜在的な被害額を含めると1千億円程度の可能性があるとするが、田中氏は「被害請求全てが被害だとは受け入れがたい」「教団に過ちがあれば謝罪するが、現在は被害者、被害金額も不明確」とし、被害者らへの謝罪ではないとの認識を示した。昨年以降、664件、約44億円の返金要請に対応してきたとする一方で「何でも応じるわけにはいかない」とも述べた。
 自身の進退は、教団改革が十分に浸透してきたとして「次世代に引き継ぐ機は熟してきている」と、役員会に検討を委ねる考えを明らかにした。