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財産保全 自公に慎重論 旧統一教会 立民・維新独自案


財産保全 自公に慎重論 旧統一教会 立民・維新独自案 財産保全を巡る与野党の立場
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の財産保全を目的とした法制化を巡り、自民、公明両党で慎重論が広がっている。教団への解散命令が出る前では、憲法が保障する財産権や信教の自由に抵触しかねないとの懸念があるためだ。一方、立憲民主党や日本維新の会は独自の財産保全法案を今国会に提出。与党の対応を「及び腰だ」と疑問視する。被害者救済に向け、与野党の温度差が露呈する。
 自公は10月25日、財産保全の在り方を検討する実務者協議をスタートさせた。関係省庁や弁護士からヒアリングを続けているが、実務者の一人は立法措置について「推定無罪の宗教法人の財産を国が押さえることは憲法に抵触する」と話す。
 そのため自公は、教団による財産の海外移転を防ぐため、外為法の規制強化を検討。元信者や家族ら被害者の訴訟費用を日本司法支援センター(法テラス)が支援するための特例法新設も選択肢としており、11月中旬をめどに意見集約する方向だ。自民の萩生田光一政調会長は「与党の考えをまとめた段階で、野党の法案を含めて話し合いたい」としている。
 自民の茂木敏充、公明の石井啓一両幹事長は都内で会談し、教団の主張にかかわらず、被害者救済策の検討を進める方針を確認。自公実務者は教団の被害者らを自民党本部に招き、意見聴取した。
 立民と維新の独自案は、解散命令請求された宗教法人を対象とする。文化庁や利害関係者らの申し立てにより、裁判所が財産保全を命じることができる内容だ。立民は憲法に配慮し、2年に限った特別措置法制定、維新は恒久的な宗教法人法改正を目指す。