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国債8.8兆円増発/補正予算あす閣議決定


国債8.8兆円増発/補正予算あす閣議決定 2023年度一般会計補正予算案の大枠
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 政府の経済対策を裏付ける2023年度の一般会計補正予算案の大枠が8日、判明した。歳出(支出)は13兆1992億円とし、歳入(収入)の7割近くの8兆8750億円を国債の増発で手当てする。歳入に計上する税収の増加分は1710億円にとどまり、借金頼みの財政が続く。政府は10日に補正予算案を閣議決定し、20日に臨時国会に提出する方向だ。11月中の成立を目指す。
 国債の増発額は、物価高対応で編成した22年度第2次補正予算の22兆8520億円から大幅に減る。しかし新型コロナウイルス禍前の19年度補正予算での増発額は4兆円台にとどまっており、なお高水準となる。23年度当初予算で決めた国債発行額と合わせると約44兆5千億円に膨らむ。財源不足の中、24年度は所得税と住民税で総額3兆5千億円程度の減税が控える。財政悪化は止まりそうにない。
 補正予算案の歳出のうち、2日に閣議決定した経済対策の関係経費は13兆1272億円とした。所得税と住民税が非課税で、減税の恩恵が及ばない低所得世帯に7万円を給付する費用1兆592億円や、ガソリンなどの燃油と電気・都市ガス代の抑制に充てる補助金の追加分7948億円を計上。経済安全保障の面から重要な半導体関連の支援額は、特別会計分を含め2兆円規模とした。
 防衛財源を複数年度にわたって確保する「防衛力強化資金」に1兆390億円を繰り入れ、国債の元利払いに1兆3147億円を充てる。予備費を2兆5千億円取り崩すなど、当初予算で決めた歳出を計3兆5098億円減額する。
 歳入には、22年度予算の一部を使わなかったことなどで生じた3兆3911億円の剰余金や、7621億円の税外収入も盛り込んだ。
 所得税と住民税の減税は24年6月から実施のため、補正予算案の枠外だ。これに関連し、鈴木俊一財務相は8日の国会で、岸田文雄首相が「減税で国民に還元する」とした税収増分は使用済みで残っていないと明らかにした。野党は「首相の論理破綻が明確になった」(立憲民主党の泉健太代表)と一斉に批判した。