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【識者談話】議会制度を否定 浦添市が議員討論文を提供 白藤博行氏(専修大名誉教授) 


【識者談話】議会制度を否定 浦添市が議員討論文を提供 白藤博行氏(専修大名誉教授)  白藤博行氏
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 執行部作成の賛成討論を読み上げた事例があったことは、議会制度そのものを否定する話だ。自分たちが政治を行い、行政を通じて有権者に託された思いを実現するという使命を議員が分かっていない。己の存在理由を己で否定しており、嘆かわしい。

 議員と首長の両方を市民が直接選挙で選ぶ二元代表制が憲法と地方自治法で定められているのは、議事機関としての議会が議論をするためだ。首長が全て決定する民主主義と、異なる区域、異なる出自からなる多様な議員で構成される議会で議論する民主主義は、それぞれの意義が異なる。

 複数の議員が意見を交わすことで自治体の政策は豊かになるのだ。賛成するにしても、議員自身で文言を書かなければ、討論する意味がない。

 熟議民主主義あるいは討論民主主義とはほど遠い。執行部と協議、調整をした上で賛成討論を受け取ったというのは、居直りにも見える。協議や調整をするのであれば、その過程を有権者に見せるべきで、そのことも賛成討論の中で明らかにするべきだ。

 (行政法、地方自治法)