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修了者らみずみずしく 伝承者公演「賢母三遷の巻」


修了者らみずみずしく 伝承者公演「賢母三遷の巻」 豊世松の按司(手前右・比嘉大志)から地頭の印判を授かる千代松(左・堀川裕貴)=11月25日、浦添市の国立劇場おきなわ
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 国立劇場おきなわの第13回若手伝承者公演「組踊 賢母三遷の巻」(宮城能鳳演出、振付、立方指導、城間德太郎地謡指導)が11月25日、浦添市の同劇場であった。組踊研修の3~6期の修了生が出演した。親思いの子を描いた温かな作品を若手の演者たちがみずみずしく演じた。
 賢母三遷の巻は、成立年代や作者不詳の組踊で、2003年に伝統組踊保存会によって復活上演された。中国の『列女伝』の中にある孟子とその母を描いた「孟母三遷」という伝説が元になったとみられる。
 夫を亡くし、一人息子を1人で立派に育てようとする母(下地心一郎)と、寝る間も惜しんで勉学に励む息子の千代松(堀川裕貴)がいた。島尻を治める豊世松の按司(比嘉大志)が互いを思う親子に感銘し、千代松に地頭職を授ける。
 領地を巡る豊世松の按司が親子のことを尋ねた百姓の島袋(比嘉克之)は、間の者的な役割を担った。比嘉大志演じる豊世松の按司の威厳と、親子や島袋のけなげさが対比になっていた。千代松が地頭の印判を受け取る際に歌われた「東江節」に、あふれる喜びを感じた。
 立方はこのほか、伊藝武士、玉城慶、國場海里、伊波心、地謡は歌三線が棚原健太、新垣勝裕、久保田諒、波平宇宙、箏が町田倫士、笛が大城建大郎、胡弓が加屋本真士、太鼓が宮里和希。
  (田吹遥子)