有料

片頭痛に新薬相次ぐ/治療、予防で生活改善も


片頭痛に新薬相次ぐ/治療、予防で生活改善も 片頭痛の年齢分布
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 日本人の10人に1人近くが抱えるとされる片頭痛。女性の有病率は男性の3・6倍で、20~40代の就労、子育て世代に多い。強い痛みが長く続き、吐き気などを伴うことも。命は奪わないが、生活を脅かす疾患だ。
 ただ「たかが頭痛」と放置したり、市販薬で済ましたりする人は多い。大阪・湊町にある富永病院頭痛センターの團野大介副センター長は「近年、新しい治療薬と予防薬が相次いで開発され、片頭痛治療は劇的に変わった」と受診を勧める。
 従来はトリプタン系製剤だけだった急性期の治療薬は2022年、ジタン系製剤が使えるようになった。高血圧やうつの薬で代用していた予防薬には21年、抗CGRP抗体製剤が登場した。月1回の注射薬で、脳表面の三叉(さんさ)神経が出す神経伝達物質CGRPの働きを抑え、片頭痛につながる炎症を起きにくくする。
 團野さんによると効かない患者は1~2割。「半年試して効果があれば2年程度続ける。それでその後の発作も軽くなる」という。
 鎮痛剤に頼りすぎると薬物乱用頭痛を起こすこともあり、予防薬をどう組み合わせるかが鍵になる。予防治療を受けた患者からは「発作をおそれず予定を立てられ、人生を取り戻した」との声も上がっている。