政府は、ミサイルや航空機を探知する自衛隊のレーダーに影響が出るとして、陸上での風力発電設備の建設を規制する新たな法案を来年の通常国会に提出する方針を固めた。防衛相が指定する区域では届け出を義務付け、著しい支障があると判断すれば2年間建設を制限するのが柱。北朝鮮の弾道ミサイル発射や中国軍機の飛行が活発化する中、対処力を高めるためには法規制が不可欠と判断した。複数の関係者が29日、明らかにした。
政府は現在、事業者が風力発電用の大型風車の建設や建て替えに関する事業計画を定める際、事前に相談するよう呼びかけているが、法的な根拠はない。一方、再生可能エネルギーを推進する観点から風力発電の導入拡大を目指しており、事業者側から規制に理解を得られるかどうかが課題となる。
自衛隊のレーダーは目標に電波を送り、反射波を受信して位置を特定する。防衛省は風車が電波を反射し、目標の正確な探知が困難になると主張。レーダーの標高や風車の高さによっては、双方が100キロ以上離れていても影響が生じる可能性があるとしている。
関係者によると、対象は全国28カ所の警戒管制レーダーや、航空機の基地にある気象レーダーの周辺に加え、基地同士の無線通信を遮る可能性がある地域とする方向だ。在日米軍のレーダーを含めることも検討している。規制は、昨年12月に閣議決定した国家防衛戦略で「防衛関連施設の機能を発揮できるよう風力発電施設設置などの社会経済活動との調和を図る仕組みを確立する」と明記したのに基づく対応。防衛省を中心に法案の取りまとめを進めている。
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風力発電建設規制へ法案 政府 自衛隊レーダー探知影響
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琉球新報朝刊
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