石川県能登地方を震源とし同県志賀町(しかまち)で震度7を観測した能登半島地震は3日、県の集計により死者が73人となった。地震での建物倒壊などによる直接死は既に2016年の熊本地震(計50人)を超え、1995年の阪神大震災以降3番目に多い。
生存率が大幅に下がるとされる発生72時間が4日午後に迫り、厳しい寒さや断続的な地震の中で各自治体が住民の安否確認を進めた。珠洲(すず)市や輪島市などでは建物の倒壊も多く救助が遅れ、被害の全容は見えない。
林芳正官房長官は記者会見で、交通の寸断や通信障害により状況把握が難しかったと指摘。「被害の把握や支援に努める」と述べた。被災地の一部には大雨警報が出され、気象庁は土砂災害に警戒を呼びかけた。
県によると輪島市と穴水町で計15人が行方不明。県が策定した大規模災害時の安否不明者公表基準に基づき住所や氏名を発表した。男性6人と女性9人で年齢が判明している人は13歳から90代。
道路の陥没やのり面崩落などにより、珠洲市、七尾市、穴水町、能登町で計約750人が孤立し、輪島市は調査中という。各地で生き埋めが発生したとの情報もあり沿岸部では津波被害があったとみられる。県内の避難者は約3万3千人。政府によると200軒以上の建物倒壊があった。
県警によると珠洲市の倒壊家屋で3日、80代男性が地震発生から2日ぶりに救出され命に別条はないという。72時間が近づく中、県警は「生存者はまだいる」としている。
坂口茂・輪島市長は「孤立集落が多い」と話し、道路やライフライン復旧と支援物資運搬が急務と訴えた。各自治体とも支援物資供給を政府や県に求め、陸路だけでなく空路や海路も活用し食料や人員搬送が進められた。
(共同通信)