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安倍派池田議員を逮捕 裏金4800万円、秘書も 特捜部 規正法違反疑い


安倍派池田議員を逮捕 裏金4800万円、秘書も 特捜部 規正法違反疑い 池田衆院議員を巡る事件の構図
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 自民党安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティーを巡る事件で東京地検特捜部は7日、政治資金規正法違反の疑いで衆院議員池田佳隆容疑者(57)=比例東海=と政策秘書の柿沼和宏容疑者(45)を逮捕した。岸田政権を揺るがす一連の事件で逮捕者が出るのは初めて。現職議員の逮捕に発展したことで、捜査は新たな局面を迎えた。特捜部は還流させた派閥側も調べ、裏金づくりの実態解明を本格化させる。 (3面に関連)
 両容疑者の逮捕容疑は、共謀して2018~22年、派閥から計4826万円の還流を受けたのに、その額を除いた虚偽の収入を資金管理団体「池田黎明(れいめい)会」の政治資金収支報告書に記入した疑い。
 安倍派の裏金は5年間で6億円近くに上る可能性があり、所属議員99人の中で池田容疑者側は高額だった。特捜部は逮捕の理由を「具体的な罪証隠滅の恐れが大きいと判断した」と説明した。
 岸田文雄首相は「大変遺憾なことであり、重く受け止めている」と官邸で記者団に述べた。自民党は7日付で池田容疑者を除名処分にした。
 池田黎明会は池田容疑者が代表者で、柿沼容疑者が会計責任者。特捜部は池田容疑者が虚偽記入の詳細を把握していたと判断した。現職国会議員が自身の政治団体を巡る規正法違反容疑で逮捕されるのは、03年の故坂井隆憲衆院議員(当時)以来となる。
 安倍派では、パーティー券の販売ノルマ超過分を収支報告書の収入に記載せず、議員側に還流した際、支出にも書いていなかった。受領議員側も収入として記載していなかった。
 池田黎明会は昨年12月8日付で20~22年の派閥からの還流分を寄付として収支報告書を訂正。池田容疑者側は、党から支払われた「政策活動費」だと認識し記載しなかったが、確証が持てなくなったと説明していた。
 規正法は政治団体の会計責任者に収支報告書の提出義務を課している。虚偽記入罪の罰則は5年以下の禁錮または100万円以下の罰金。
 特捜部は昨年12月27日、両容疑者の関係先を家宅捜索していた。
 安倍派は池田容疑者の逮捕を受け「関係者の皆さまに多大なご心配とご迷惑をおかけし、心よりおわび申し上げる」とのコメントを発表した。

 政治資金パーティー 政治家や政治団体が活動資金を得るために開くイベント。政治資金規正法は収入から経費を差し引いた残額を政治活動に充てることを認めている。1回で20万円を超す支払いを同一の個人や法人などから受けた場合は、政治資金収支報告書に支払った側の名前や住所が記載される。1回で1千万円以上の収入がある場合は「特定パーティー」と呼ばれ、開催日や収入額などの記載義務がある。自民党派閥の場合、1回で1億円以上を集めるケースもある。