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派閥責任問う捜査必要


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 自民党安倍派の政治資金パーティー事件で、東京地検特捜部が衆院議員池田佳隆容疑者の逮捕に踏み切ったのは、証拠隠滅の恐れがあるほか、還流された裏金が高額だったためだ。パーティー券収入の裏金化は、派閥ぐるみの慣行とされ、池田容疑者1人の問題にとどまる事案ではない。組織としての責任を問う捜査が求められる。
 政治資金規正法は、パーティー券収入などの政治資金が「民主政治の健全な発達を希求して拠出される国民の浄財」だからこそ、その収支を明らかにして国民の判断に委ね、適切に運用されなければならないと定める。
 今回あらわになった裏金化の仕組みは、こうした法の理念を無視するものにほかならない。派閥内では「公然の秘密」だったとみられ、幹部らも仕組みの維持に関与した疑いが持たれている。
 特捜部は安倍派の実力者「5人組」を任意聴取するなど、派閥側に対する捜査を進めるが、国会審議への影響を最小限にするため、通常国会が召集される今月下旬を時期的な区切りと意識する。
 ただ、中途半端な幕引きでは国民の理解は得られない。根深い「政治とカネ」の問題のうみを出し切ることを捜査の最優先事項とすべきだ。