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米英軍、フーシ派拠点空爆 紅海の商船攻撃に報復


米英軍、フーシ派拠点空爆 紅海の商船攻撃に報復 イエメンのフーシ派支配地域の軍事拠点に向けて艦艇から発射されるミサイル。米中央軍が12日、Xに投稿した(ロイター=共同)
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 【ワシントン共同=比嘉杏里】バイデン米大統領は11日、米英両軍がイエメンの親イラン武装組織フーシ派支配地域の拠点を空爆したと発表した。昨年10月に始まったイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘に乗じて紅海で商船を攻撃するフーシ派への報復措置で初の本格的な軍事行動となった。フーシ派は12日、攻撃で戦闘員5人が死亡、6人が負傷したとし、報復すると主張。後ろ盾のイランも反発しており、報復の連鎖に発展すれば中東地域全体に緊張が拡大する恐れがある。
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 紅海を通る航路は世界の海上貿易量の約1割を占め、日本を行き来する商船も多数運航。フーシ派による攻撃で大手海運会社が航路変更を余儀なくされ、物流に遅れも生じていた。緊張がさらに高まれば、世界経済により一層の悪影響を及ぼす可能性がある。フーシ派はハマスに連帯、イスラエルに関連する船を狙っていると主張している。
 バイデン氏は声明で「最も重要な商業航路で航行の自由を脅かすことを許さないという明確なメッセージだ」と強調。無人機や対艦弾道ミサイルで商船を狙うフーシ派の攻撃は昨年11月半ば以降、27回を数える。バイデン氏は攻撃をやめなければ「追加措置をためらわない」と警告した。
 フーシ派は12日、イスラエルに関連した船舶への攻撃を続けると表明した。イラン外務省報道官も同日の声明で「イエメンの主権を侵害し、地域をより不安定化させるだけだ」と非難した。
 米軍によると、戦闘機で空爆したほか、艦艇や潜水艦から巡航ミサイルで攻撃。16カ所の軍事拠点にある60以上の標的を狙い、フーシ派の無人機や司令部、弾薬庫を破壊した。オーストラリア、バーレーン、カナダ、オランダが支援した。