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米兵被爆死、初の公文書 広島12人 「原爆投下の結果」


米兵被爆死、初の公文書 広島12人 「原爆投下の結果」 米兵被爆死に関するGHQ文書のポイント
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 米軍による広島への原爆投下で、米兵12人が死亡したと1948年に結論付けた連合国軍総司令部(GHQ)の捜査報告書が13日までに見つかった。作成者は米軍大尉で「原爆を投下した結果」と死亡理由を記述。日本の戦争犯罪を裁くため被爆した米兵への虐待の有無を調査し、捕虜だった12人について「残虐行為の証拠は得られなかった」として被爆死と断定した。専門家によると、米兵被爆死の総数が米側の公文書で確認されたのは初めて。
 米国立公文書館所蔵文書の複写を共同通信が入手し、広島市立大広島平和研究所の永井均教授(日本近現代史)に分析を依頼した。広島で被爆した歴史研究家の森重昭氏(86)が遺族への調査に基づき、2008年の著書で12人と公表した独自調査が裏付けられた。
 米政府は戦後長らく、原爆で米兵が犠牲になった事実を非公表としてきた。現職米大統領として被爆地を初訪問したオバマ氏が16年、広島市で行った演説で「12人」に初めて言及したが、根拠となる文書は明らかにされていない。
 報告書は48年12月20日付の「GHQ法務局調査課報告書2779号」で、戦犯捜査を担うGHQ法務局に所属した米軍のロバート・ミラー大尉が作成した。わずか1ページで、件名は「広島市に原爆を投下した結果としての搭乗員12人の死亡」。12人の氏名はなく「残虐行為の証拠は不十分で、訴追しない」とした。