映画は冒頭から料理のオンパレード。一つ一つの食材にかける時間と丁寧さに舌を巻いている間に、におい立つような料理が仕上がる。勝手に想像する香りも舌触りも至福だ。
舞台は19世紀末のフランス。美食家のドダンと料理人のウージェニーのコンビが生み出す料理は国外にまで知れ渡り、注目の的だった。
ある日、ユーラシア皇太子から招待を受け自慢の料理をふるまわれるが、くどいだけで何の感動もないと一蹴。皇太子に本物の料理を味わってもらおうと、2人が念入りに計画をしている最中に、ウージェニーが急病に倒れてしまう。
2人の織り成す料理の供宴は妥協など許さず、芸術的で芳醇(ほうじゅん)。一切の無駄ない動きと食材の新鮮さが画面からでもうかがい知れる。何度も生唾を飲み込みながら、味わえないからこその焦がれは高まる。「食べたい!」という欲求とともに、スクリーンを覆いつくす料理の美しさに終始酔いしれる。監督はトラン・アン・ユン。(スターシアターズ・榮慶子)
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ポトフ 美食家と料理人/シネマプラザハウスで公開中/芸術的で芳醇な一皿
![ポトフ 美食家と料理人/シネマプラザハウスで公開中/芸術的で芳醇な一皿](https://ryukyushimpo.jp/tachyon/2024/01/RS20240115G00591010100.jpg?resize=615%2C410&crop_strategy=smart)
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琉球新報朝刊
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