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買う人を想像して作業 當眞 貴幸さん おきなわ工房


買う人を想像して作業 當眞 貴幸さん おきなわ工房 心を込めてお守りに色を重ねる當眞貴幸さん=16日、沖縄市安慶田の「おきなわ工房」
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 事業所の壁に掛けられたたくさんのお守り。十二支、安産祈願、交通安全祈願、サングァーなど種類はさまざまだ。沖縄市安慶田にある「おきなわ工房」の當眞貴幸さん(45)=同市=は、お守りに描かれた「辰」の絵に細い筆で慎重に色を塗る。
 同事業所では約30種類のお守りを製造し、県内の神社に卸している。お守りを作り始めたのは15年ほど前。試しに20個ほど作り、神社に卸したところ評判となった。現在では1年間に約2万個を製造している。年末年始や受験シーズンは繁忙期でもある。
 當眞さんが同事業所に通い始めたのは1996年の開設時から。沖縄高等特別支援学校を卒業後、一般就労でクリーニング店や水道工事業に3年ほど従事したが、長くは続かなかった。次の就労先を探すため、支援学校の初代PTA会長をしていた施設長の田中寛さんを訪ねた。田中さんの人柄やアットホームな雰囲気に引かれ、通所を決めた。
 「買う人が喜ぶ姿を想像して作るようにしている」と話す當眞さん。細かい作業のため、集中力を切らさないように休みながら塗るのがコツだという。自分が作ったお守りを、知人が付けている姿を見かけることもある。「うれしいね」とはにかんだ表情を見せる。
 施設長の田中さんは「明るくて真面目。世話好きで他の利用者の手伝いも進んでしている」と當眞さんの人柄を語る。
 趣味は体を動かすことだという。コロナ禍前には、おきなわマラソンや中部トリム・ハーフマラソンにも出場した経験がある。
 「いつも通り体に気を付けてコツコツと頑張りたい」。そう話し、再びお守りに色を重ねた。 (渡真利優人)