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▽1031 退院後生活環境相談員の業務は 精神保健の課題に対応


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 大学で精神保健福祉士の資格取得を目指して勉強しています。精神保健福祉法が2024年4月に改正され、退院後生活環境相談員の業務が変わると講義で聞きました。どのように変わるのか、改正の理由など教えてください。
 退院後生活環境相談員は、医療保護入院(本人の同意を得ることなく入院)した人の権利を擁護する観点から、その早期治療・早期退院を目指し、多様な職種や地域との連携を図る支援の中心的役割を担う役職です。2014年の精神保健福祉法改正で配置が義務化されました。
 24年の改正では、措置入院にも義務化が適用され、退院後、本人や家族などの希望に基づき、地域の援助事業者の紹介が義務付けされ、希望がない場合でも、その意向を聞き取りながら、希望した際にすぐに紹介できるよう地域の援助者と連携を図っていくことになっています。また、退院後の生活について話し合う「医療保護入院者退院支援委員会」は、入院が1年を超える場合は開催することになりました。
 改正理由には人権・虐待問題や、入院中心から地域生活への移行を促進する目的もありますが、地域では子育て、介護、生活困窮、ひきこもり、自殺、虐待など、精神保健上の課題が複雑多様化しています。これらを踏まえ、障害者総合支援法、精神保健福祉士の定義の改正にて相談支援の対象が精神障がい者だけでなく精神保健に課題を抱える者も追加となっており、地域と精神科医療が連携していく必要性が出てきています。退院後生活環境相談員は地域の実情を知り、支援体制を整備する役割も期待されていると感じます。(沖縄県精神保健福祉士協会 島尻拓)
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