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自治体 高齢者に使い方分かりやすく スマホサポーターを育成


自治体 高齢者に使い方分かりやすく スマホサポーターを育成 東京都大田区で開かれた無料相談会で、スマートフォンの使い方を教える都のスマホサポーター、松岡輝征さん(奥)=2023年11月
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 スマートフォンの使い方が分からない高齢者に向け、自治体がコーチ役の「サポーター」育成を進めている。東京都のサポーターは2023年1月に登録を始めてから9カ月で約700人となり、都が主催する相談会に参加。商品の支払いやチケットの予約、行政手続きに使えるスマホの操作方法を分かりやすく教えている。
 「このQRコードを画面に表示してコンサート会場の端末にかざしてください」。昨年11月16日、東京都大田区で開かれた無料相談会。都のスマホサポーターの松岡輝征さん(61)は訪れた同区の女性(75)のスマホの画面を見ながら、コンサートの座席指定の操作や、会場に入場する手順を丁寧な口調で伝えていた。
 女性は「有人の窓口が減り、確定申告の他、飛行機や鉄道の予約でスマホが必要になる」と感じ、相談会への参加を決めた。松岡さんに教わったことを一つ一つ手元の紙にメモする。
 松岡さんは「知人の高齢女性の相談に乗り、喜ばれたのが活動を始めようと思ったきっかけ。相談会に訪れた人は『スマホの使い方を教えてもらえる場所がない』と訴えている。サポーターの必要性を強く感じる」と話す。都主催の相談会では報酬も出る。
 都はITを使える人と使えない人の格差を減らそうと、年2億円かけてサポーターを育成。オンライン研修を受け、スマホの基本操作や交流サイト(SNS)の利用法だけではなく、高齢者への接し方を教わる。都以外にも、神奈川、兵庫両県など、各地でサポーターを養成する取り組みは広がっている。