観客がスクリーンで見ることを前提に映画は作られている。だからテレビやPCの画面で見ると、大事故が起こる。映画の中の世界が暗くなるたびに、テカテカしたパネルに反射した自分の顔が現れるのだ。鏡を見ている時とは明らかに違う気の抜けたブサイクなこの顔が、集中力を奪い、どんなラブストーリーもホラーに変え、口角のリフトアップに忙しい。
緑の美しいこの作品も、劇場の暗闇と、大きなスクリーンがあるからこそ生まれた映画だ。風に揺れる木々の葉の濃淡からこけの細胞まで、あらゆる緑がみずみずしく、大胆にスクリーンいっぱいに広がり、空気まで美しい。その中で育まれる恋は、明らかにスペシャルで、唯一無二だ。
故郷へ帰るか帰らないか悩んでいた外国人労働者の男が、帰国予定日直前に恋をする。それだけの話。でも心はずっとスクリーンの向こう側で、緑に包まれ、恋をしている。今世界が注目するベルギーのバス・ドゥヴォス監督の最新作。先行上映には監督が来場予定! (桜坂劇場・下地久美子)
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Here 桜坂劇場で来月4日先行上映、3月公開/緑の中で育まれる恋
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琉球新報朝刊
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