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オペラ「ラ・ボエーム」 幻想的に 中城城跡に映像投影


オペラ「ラ・ボエーム」 幻想的に 中城城跡に映像投影 オペラ「ラ・ボエーム」で情熱的な歌声を披露するジョン・健・ヌッツォ(右)と宮城美幸
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 中城村の世界遺産中城城跡で野外オペラ「沖縄オペラフェスティバル2024」が13、14の両日夜、開催された。日本を代表するテノール歌手ジョン・健・ヌッツォを迎え、県内外で活躍する声楽家と琉球交響楽団(琉響)の管弦楽が共演した。プッチーニの名作オペラ「ラ・ボエーム」全幕を演奏会形式で上演し、夕刻から夜にかけて景色の変化とともに、オペラの音色を味わった。指揮は大勝秀也。北中城村観光協会が主催した。13日を取材した。
 「ラ・ボエーム」は1830年代のフランス・パリを舞台に、屋根裏部屋で過ごす芸術家4人の物語。詩人のロドルフォとお針子のミミの出会いから、恋人たちの葛藤、病を患うミミとの死別などを全4幕で描く。ミミを宮城美幸(みさち)、ロドルフォをヌッツォ、ムゼッタを友利あつ子、マルチェッロを市川宥一郎がそれぞれ演じた。出演者の迫力に満ちた歌声と琉響の生演奏が、中城城跡に厳かに響き渡った。
 城壁の壁に映像を投影するプロジェクションマッピングの演出もあった。歌い手の表情をリアルタイムに流しつつ、日本語訳と英語訳の字幕も一部映されるなど、初心者にもオペラが楽しめる工夫がなされた。
 一方で、映像を映した城壁と舞台に距離があるために、双方を同時に鑑賞することは難しかった。演出が十分に生かされていたとは思えず、残念だった。今後も同様の企画が世界遺産で催されるのであれば、じっくり味わえる演出や舞台を期待したい。
 14日はミミを知念利津子、ムゼッタを金城理沙子が務めた。ほか、コッリーネを13日に田中大揮、14日に大城治、ショナールを前川佳央、ベノア、アルチンドーロを西條智之が担った。  (田中芳)