有料

国の指標値変えず PFAS摂取 水も据え置きか


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 内閣府の食品安全委員会の作業部会は26日、発がん性などが指摘される化学物質群の有機フッ素化合物(PFAS)を巡り、人が1日に摂取する許容量はPFOAとPFOSの2物質でそれぞれ体重1キロ当たり20ナノグラム(ナノは10億分の1)との指標値を決定した。水道水などの暫定目標値の検討で採用された数値と同じ水準。海外の動物実験の結果から算出した。
 指標値は、この日の会合で大筋でまとめたPFASの健康影響評価書に盛り込んだ。PFHxSという物質についても検討したが、十分な知見がなく算出は困難とした。
 評価書では、既存の国内外の知見を基に発がん性などの影響の有無も示した。例えば腎臓がん、精巣がん、乳がんは、PFOAとの関連が複数の研究で認められているが、証拠が限定的とした。
 会合後の記者会見で座長の姫野誠一郎・昭和大客員教授は「今後データが蓄積すれば考え直す必要が出るかもしれない」と述べた。
 食品安全委の評価を踏まえ、厚生労働省や環境省は、水道水や河川など環境中の水の暫定目標値を見直す。これまでの値は今回と同じ水準の摂取許容量を使って算出し、PFOAとPFOSの合計で1リットル当たり50ナノグラムとしており、据え置きになる可能性がある。
 飲み水の濃度については、米環境保護局(EPA)がPFOAとPFOSをそれぞれ1リットル当たり4ナノグラムと非常に低く規制する方針を示すなど、基準を厳格化する国もある。日本でも濃度を下げるよう求める声が強まることも予想される。