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高齢者の虫歯増加/定期的に歯科受診を


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 厚生労働省と日本歯科医師会が進める「80歳で歯を20本残そう」という8020運動で、自分の歯を保つ老人は増えた。ただ若年層の虫歯は減ったのに、65歳以上では逆に増える皮肉な結果になった。次は健康な歯をいかに残すかが課題だ。
 高齢者の虫歯について、日本歯周病学会理事で若林歯科医院(東京・恵比寿)の若林健史院長は「年とともに若い時とは異なる虫歯が増えてくる」と説明する。硬いエナメル質が溶けてできるのではなく、根本の歯根部の虫歯が増えるという。
 これは加齢で歯茎が下がり、軟らかい象牙質やセメント質が顔を出すため。食べかすが詰まりやすく、細菌の巣となる歯垢(しこう)もたまりやすくなる。しかも磨きにくく、唾液が減って自浄作用も落ちる。こうした悪条件が重なって虫歯ができる。
 予防策は「やはり歯ブラシで歯垢を取ること」(若林さん)だが、毛がやわらかめのブラシで力を入れず細かく磨く。歯磨き粉も研磨剤の入っていないものを。歯間ブラシの使用も習慣化したい。部分入れ歯を使うなら、歯ブラシでの掃除や洗浄剤での除菌を忘れずに。若林さんは「家でのケアには限界もあるので、定期的に歯科医院で歯のクリーニングと口の中のチェックを。3~4カ月ごとにするのが理想的」と話している。