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政治改革「必ず実行」 首相施政方針 デフレ脱却に総力 野党、裏金追及へ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 岸田文雄首相は30日、衆参両院で施政方針演説を行った。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件に関し「極めて遺憾で、心からおわび申し上げる」と陳謝。党政治刷新本部が策定した改革を先頭に立って必ず実行すると表明した。物価高に負けない賃上げを実現し、デフレからの完全脱却へ総力を挙げると強調した。能登半島地震の被災地再生に責任を持つと宣言した。野党は政治資金規正法の抜本改革を求め、首相を追及。「裏金国会」で与野党攻防がさらに激化するのは必至だ。 (3面に関連、6面に全文)
 裏金事件の全容解明や、法令違反があった場合の厳罰化を含む規正法改正が焦点。安倍派を中心に裏金を受領していた議員の政治責任が明確化できるかどうかも問われる。首相は改革を断行する姿勢を示しつつ、所得増を実現して反転攻勢をかけたい考えだ。局面転換を図りつつ、衆院解散・総選挙のタイミングを慎重に探るとみられる。
 首相は施政方針演説で、政治刷新本部に関し、派閥が「お金と人事のための集団」と見られる状況にあったと認め、お金と人事からの完全な決別を決めたと説明した。各党との協議を経て、規正法改正など法整備を進めると明言した。
 30年ぶりの高い賃上げ水準となった昨年の流れを今年につなげるため、政府による「公的賃上げ」を行うと言明。医療や福祉、公共サービス分野での賃上げに意欲を示した。6月実施の所得税・住民税減税で可処分所得を下支えし「『賃金が上がることが当たり前だ』との意識を社会全体に定着させる」と主張した。
 能登半島地震では、自らをトップとする「復旧・復興支援本部」の新設を表明。2024年度予算案の予備費を1兆円に倍増した経緯に触れ「予算の制約で対応にちゅうちょすることがあってはならない」と語った。
 憲法改正の国会発議に向けた積極的な議論を提唱し「党総裁任期中に改正を実現したいとの思いは変わらない」と力説。原発は安全最優先で活用すると強調した。