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辺野古工事「進める」 「寄り添う」今回もなし


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【東京】岸田文雄首相は30日、衆参両院本会議で施政方針演説を行い、米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設で前例のない「代執行」に踏み切った工事を引き続き進める方針を改めて明らかにした。首相就任後初めての2022年1月の施政方針演説に盛り込んだ「沖縄の皆さんの心に寄り添い」との表現は、23年1月の施政方針演説に続き、削除した。
 岸田首相は、重要課題とする「防衛力の抜本的強化」の一環として、「日米同盟」を世界の「安定と繁栄」の「公共財」と位置づけ「同盟の抑止力・対処力を一層強化」するとした。
 「基地負担軽減」も掲げたが、昨年に続き、沖縄の地元住民に配慮する文言は省かれた。一方で「普天間飛行場の一日も早い全面返還を目指し、辺野古への移設工事を進める」との政府方針は堅持した。
 昨年1月の施政方針演説に続き、安全保障課題の一環として「沖縄経済を強化」するとした。防衛政策と沖縄振興とのリンク姿勢をにじませた一方、政権が当初から掲げた「強い沖縄経済」の実現という表現は用いられなかった。
 外交分野では、4月上旬を予定している国賓待遇での訪米を強調。日米関係を「外交の基軸」に位置づけた上で、関係強化により「わが国の安全保障を万全なもの」にするとした。  (安里洋輔)