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緑の夜 桜坂劇場・明日公開 女性同士だけの共感


緑の夜 桜坂劇場・明日公開 女性同士だけの共感 【芸能】シネマFOCUS/桜坂劇場/緑の夜
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 地獄のような現実を変えるべく、悪事に手を染めた美しい2人の女性の物語。女性同士でしか共感できない後悔や怒り、悲しみを分け合い、共に罪を犯し、2人の親密度は増す。
 先日亡くなられた八代亜紀さんが、女性刑務所の慰問を積極的になさっていた、という話を思い出した。「ここにいるのはみんな男のせいよね」と八代さんが言い、「舟唄」を歌い、そしたら女囚がみんなむせび泣いた、という都市伝説。犯した罪を誰かのせいにするつもりもないけれど、「あの人を愛さなければ未来は違っていた」とか「男に生まれればよかった」とか、そんな女性だけが共有できる、悔やんでも悔やみきれない後悔を抱き、涙する気持ちはよくわかる。
 強くなろう、強くならなきゃ。彼女たちが出会う高圧的なあの男性たちも、力が強いだけで、結局は弱者。力ではなく、みんなの心さえ強くなれば世界はもっと幸せなのに。そんなことを夜中に考えました。監督はハン・シュアイ。(桜坂劇場・下地久美子)