「オシャレな反戦活動がしたい」とある人が言った。恋をしなよ、と彼に伝えたい。そしてこの小さくて静かな恋の映画が、格別にオシャレな反戦映画だと知らせたい。
一目で恋に落ちた男女が、運命のイタズラで会えなくなり、でも会いたいと願う。あらすじを述べるとしたらそれくらいだ。ただし、恋は見た目によらず忙しい。喜怒哀楽の大きな波が代わる代わる打ち寄せ、渦となり、心を乱す。
ある日のデート中、ホラッパはアンサを怒らせる。ラジオから執拗(しつよう)に流れるロシアとウクライナの戦争のニュースが、アンサの怒りに油を注ぐ。アンサが怒るから戦争はやめて。そんな気分だ。
不本意に争い、別れて、会わなくなって。それでも「好き」が消えない2人。ラジオを消せば戦争のニュースは消えるけれど、何をやっても「好き」が消えない。他の人とはどこか違う気がしたの。そんなささいな理由で恋は突然生まれてしまうから、戦争なんてしてる暇がない。監督はアキ・カウリスマキ。
(桜坂劇場・下地久美子)
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琉球新報朝刊
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