遠方に住む孫を、高校進学を機に預かることになった。かわいい孫だが、いまだジェネレーションギャップを埋めきれずにいる。子どもたちが小さいときは生活に追われて、一人一人の未来への希望など聞いてやれる余裕はなく、ただただ、ご飯だけはお腹(なか)いっぱい食べさせてやらねばと、そればかり。その子らが長じてのち必要以上に構われないのはありがたかったが、未来を描くのに情報の不足した家庭だったと言われたときは参った。
映画の中の母子は理想と現実のギャップに戸惑いながら、よかれと行動すればするほど空回り。恋する息子は、彼女に好かれたいばかりに興味のない社会情勢にあらぬ方向からアプローチしてはあきれられ、愛にあふれる母親は勤勉な他人の息子に自分の理想を押しつけては煙たがられる。
必死になればなるほど空回りする様子は、はたから見ている分には滑稽かもしれないが、身に覚えが大いにありすぎていとおしすぎる。ラストもすてき。監督はジェシー・アイゼンバーグ。(スターシアターズ・榮慶子)
有料
母子の理想と現実の差 僕らの世界が交わるまで シネマパレット・きょう公開
![母子の理想と現実の差 僕らの世界が交わるまで シネマパレット・きょう公開](https://ryukyushimpo.jp/tachyon/2024/02/RS20240205G00631010100-scaled.jpg?resize=615%2C410&crop_strategy=smart)
この記事を書いた人
琉球新報朝刊
![Avatar photo](https://ryukyushimpo.jp/uploads/2023/09/favicon-21x21.png)