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中絶薬「郵送でも安全」 米解析 制限の動きをけん制


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【ワシントン共同】経口中絶薬を女性の元に郵送する遠隔医療方式の人工妊娠中絶でも、対面で提供するのと同じ成功率と安全性が確保できるとの研究を、米カリフォルニア大サンフランシスコ校のチームが15日、米医学誌ネイチャーメディシンに発表した。20州と首都ワシントンで利用した約6千人の膨大なデータを解析した。
 米国では中絶反対派が薬事当局の安全評価を疑問視し、中絶薬の承認取り消しを求めた裁判が進行中。この中で郵送も禁止の瀬戸際にある。チームは研究で安全性が裏付けられたと主張し「裁判所が否定すれば、市民は必要な医療を受けられなくなる」とけん制した。
 解析対象は、郵送が認められた2021年から22年にかけ中絶を試みた女性。ビデオ通話やメッセージで医師側とやりとりし、薬を受け取った。97.7%はそのまま中絶に成功。輸血や手術が必要になる重い副作用の発生率は0.25%だった。 対面での発生率は0.2~0.5%とされる。
 22年6月、最高裁が中絶を憲法上の権利と認めた「ロー対ウェード」判決を覆すとルール設定は各州に委ねられ、保守的な州が規制に動いた。禁止州の女性は中絶医療を求めて遠く離れた容認州のクリニックを利用。クリニックの態勢は逼迫(ひっぱく)している。