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指揮者の妻の苦悩 マエストロ その音楽と愛と シネマパレットで公開中


指揮者の妻の苦悩 マエストロ その音楽と愛と シネマパレットで公開中
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 ブラッドリー・クーパーの監督2作目は、世界的に有名な指揮者レナード・バーンスタインの知られざる素顔を描く。
 急病の指揮者に代わり臨時で立ったカーネギーホールでの指揮が、彼の人生を変えた。その後、とんとん拍子に俳優フェリシアとの結婚、指揮者の他に作曲や教育者としても成功し生活は安定する。と、ここで私たちは困惑するのだ、結婚前の彼の恋人たちはみな男性だったのに、と。
 安定と同時に彼の浮気心も春の虫のように動き出し、フェリシアの苦悩が同時に始まる。愛すれば愛するほどに苦しみから逃れられない妻の胸中は察して余りある。
 だが、バーンスタインは家族もまた全身全霊で愛した。だからこその妻としての苦しみでもあったのだろう。
 彼の奏でる音楽に包まれながら、フェシリアの想(おも)いに泣く。日本人のメーキャップアーティスト、カズ・ヒロの手でブラッドリー・クーパーが若い時から老齢期まで1人で演じるのも見どころ。(スターシアターズ・榮慶子)