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政倫審 首相の新証言なし 還流復活、説明できず


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、岸田文雄首相は29日、衆院政治倫理審査会に出席し「国民の大きな疑念を招き、政治不信を引き起こした」と謝罪した。安倍派が2022年に資金還流をいったんやめると決めながら復活させた過程については明確に説明できず、派閥裏金の実態に関する新たな証言が出ることはなかった。首相自身の政治資金パーティーはやめるべきだと立憲民主党の野田佳彦元首相から迫られ、在任中は開催しないと述べた。 (3面に関連)
 政倫審には首相と二階派の武田良太事務総長が出席した。現職首相が出るのは初めて。
 首相は事件に関し「原因が順法精神の欠如にあるならコンプライアンス(法令順守)確立へ改革を進める」と強調。不記載議員に説明責任を果たすよう促すとし、説明状況を踏まえ「党の処分を判断する」と語った。
 再発防止策を巡り、会計責任者だけでなく国会議員も責任を負う政治資金規正法の改正を党に指示したと明らかにし、政治団体への外部監査の対象範囲拡大も挙げた。
 武田氏は二階派の収支報告書について、元会計責任者から説明を受けておらず虚偽記載を知らなかったと釈明した。
衆院政治倫理審査会の冒頭、裏金事件について謝罪する岸田首相=29日午後(代表撮影)