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クラシックと琉球古典融合 「おとゆい×ウィーン」 奥行きある世界観


クラシックと琉球古典融合 「おとゆい×ウィーン」 奥行きある世界観 琉球古典芸能と弦楽四重奏で「四つ竹」を披露する出演者=2月8日、浦添市のアイム・ユニバースてだこ大ホール
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 「おとゆい×ウィーン交響楽団2024ニューイヤーコンサート」(ビューローダンケ主催)が2月8日、浦添市のアイム・ユニバースてだこ大ホールで開かれた。ウィーン交響楽団のメンバーや県内外のクラシック演奏家、琉球古典芸能家がコラボレーションした演奏を室内楽で披露した。音楽の都、ウィーンの音色が多様に響き、優雅で奥行きのある世界観を生み出した。
 ウィーン交響楽団の弦楽四重奏によるモーツァルトの「ディヴェルティメントニ長調作品136」で幕開け。柔らかな旋律が春の陽光のように会場を包んだ。一転、四重奏に加えて歌三線と舞踊家が登場し、鶴見幸代編曲の「四つ竹」を披露。華やかな舞と女性の地謡による伸びやかな高音、弦楽器のハーモニーが重層的に広がった。晴れやかでありながらも、どこか郷愁を感じさせる複雑な響きが心に余韻をもたらせた。
 続いて、四重奏に吹奏楽器も加わり、ヨハン・シュトラウスのポルカとワルツを演奏。ワークショップ受講生も参加した。「クラップフェンの森で」では小鳥のさえずりの音も交え、遊び心たっぷりに演奏した。
 「おとゆい」の芸術監督を務める三ツ石潤司による「ラ・ヴァルスの原像」は、モーリス・ラヴェル作曲のウィーン風ワルツ「ラ・ヴァルス」にインスピレーションを得て作曲した作品。緩やかな音で始まり、ふわりと香り立つようなワルツで多幸感を運んだ。R・シュトラウスの「ばらの騎士組曲」は、ミュンヘン生まれのシュトラウスの視点からウィーンが描かれた作品で、華やかさだけでなく威厳も感じた。アンコールまで終えると、スタンディングオベーションも見られ、観客には笑顔が広がった。  (田吹遥子)