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寄稿 オペラと語り「蝶々夫人」と私 熊澤 南水 見事な脚本 東京で22年再演 てだこホール 15、16日開催


寄稿 オペラと語り「蝶々夫人」と私 熊澤 南水 見事な脚本 東京で22年再演 てだこホール 15、16日開催 カーテンコールで拍手喝采を受ける舞台朗読家の熊澤南水(手前左)と黒島舞季子(手前右・ソプラノ)=2022年12月、東京都台東区の浅草公会堂(提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 「南水さん、オペラ『蝶々夫人』の語りをやってもらえないだろうか」
 沖縄へ通うようになって以来、何かと目をかけ、力を貸してくださっていたMより突然の電話があり、約束の場所へ。それが黒島舞季子(ソプラノ)との初対面だった。
 低予算で分かりやすいオペラを上演できないものだろうか、と悩んでいたMは、イタリア留学から戻られたばかりの黒島に相談を持ちかけ、引き受け完成したのが、オペラと語りの共演「蝶々夫人」だったのである。
 蝶々さんの侍女として仕えていたスズキ(本来はメゾソプラノ)の回想録形式で物語が進行、これまでの字幕スーパーよりはるかに分かりやすく、登場人物も大幅にカットでき、歌い手は蝶々さん(ソプラノ)とアメリカ領事のシャープレス(バリトン)お二人のみ。オーケストラを省きピアノとバイオリン演奏だけで、しかし従来の舞台と比べても何の遜色もないオペラの舞台が展開されるのである。見事な脚本である。この舞台の成功は、ひとえにこの脚本にあると私は信じている。
 2007年の初演はパレット市民劇場、翌年宮古島で再演されいずれも大成功を収めたが、その後は再演のチャンスもなく、15年の月日を得て、東京浅草公会堂で幕を開けたのが22年。満員の観客、合計7回も繰り返されたカーテンコールは、今でも鮮やかに覚えている。 (舞台朗読家)

 15日午後7時、16日午後4時、浦添市のアイム・ユニバースてだこホール小ホールで開かれる。入場料は一般前売り4500円、大学生以下2500円(当日は各500円増し)。16日のチケットは完売した。問い合わせは沖縄オペラアカデミー、電話098(884)8498。