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組踊「春夜の夢」再演 かなの会・高嶺師範 初演に物語追加


組踊「春夜の夢」再演 かなの会・高嶺師範 初演に物語追加 思鶴(左・高嶺美和子)と亀千代(仲村圭央)が夢の中で出会い、2人で「柳」を舞う場面=1月26日、浦添市の国立劇場おきなわ
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 琉球舞踊かなの会師範の高嶺美和子による新作組踊「春夜(はるよ)の夢~牡丹亭の梅と柳~」が1月26日、浦添市の国立劇場おきなわであった。2022年初演の同作に、続きの物語を追加して上演した。
 同作は中国の昆劇「牡丹亭」を組踊化した作品。昆劇「牡丹亭」では、柳、牡丹、梅が重要な要素である点で琉球古典舞踊「柳」に共通している。高嶺はこれらを博士論文にまとめ、初演の新作組踊につなげた。
 思鶴(高嶺)は花の神(伊藝武士)の導きで牡丹亭を訪れる夢を見て、そこで出会った亀千代(仲村圭央)と恋に落ちる。亀千代も夢の中の思鶴を忘れられず、牡丹亭に迷い込む。思鶴が命を落としたことを知るが、その夜に幽霊となった思鶴に再会する。思鶴を裁く閻魔王(比嘉大志)がえんま帳で亀千代と結ばれる運命にあると確認。花の神が柳の力で思鶴を生き返らせ、2人は結ばれる。
 出会いで「柳節」、再会で「天川節」、結ばれる場面で「白鳥節」と2人の仲が徐々に確固たるものになっていく様子が音曲からも伝わった。追加部分の最後に結ばれる結末も自然だった。高嶺による古典の深い考察や分析なしにはできない新作だ。
  (田吹遥子)