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円安、90年以来水準 一時151円97銭 物価高に拍車も


円安、90年以来水準 一時151円97銭 物価高に拍車も 円相場の推移(対ドル)
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 27日の東京外国為替市場で円相場が対ドルで下落し、一時1ドル=151円97銭と、バブル経済期終盤の1990年7月以来約34年ぶりの円安水準を付けた。日銀は政策金利を17年ぶりに引き上げたものの、緩和的な金融環境を続ける方針を明確にしている。日銀の田村直樹審議委員が27日午前、緩和維持の発言をしたことで日米の金利差は当面縮まらないと意識され、円を売って運用に有利なドルを買う動きに拍車がかかった。円安進行で一層の物価高も懸念される。 (4面に関連)
 政府・日銀が円買いドル売りの為替介入を実施した2022年10月の安値(151円94銭)を更新した。鈴木俊一財務相は27日、記者団の取材に応じ「行き過ぎた動きには、あらゆるオプション(選択肢)を排除せずに断固たる措置を取っていく」と述べた。
 日銀の植田和男総裁は27日午後の衆院財務金融委員会で「当面、緩和的な金融環境が継続する」と説明。物価への影響を「十分に注視したい」としたが、円安に歯止めがかからず輸入物価の上昇を招く可能性がある。
 円安を背景に東京株式市場の日経平均株価(225種)は反発。輸出関連銘柄が買われ、4万円台を維持した。緩和長期化の観測から国債市場では国債が買われ、利回りが下落した。
 日銀は今月の金融政策決定会合で、大規模金融緩和策の目玉だったマイナス金利政策を解除したが、追加利上げには慎重姿勢だ。これに対し、米の金利はいまも高い水準にある。