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17歳 共に生きる体験 Winter boy 桜坂劇場・あす公開


17歳 共に生きる体験 Winter boy 桜坂劇場・あす公開 シネマFOCUS/桜坂劇場/Winter boy
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 小さくて何気ない映画、ではなかった。映画を通し、17歳の多感な少年が過ごす極めてパーソナルな時を、一緒に生きる体験をした。フランスの美しい景色の中で展開される、とても静かな映像を前に、頭は17歳の頃のように忙しく動き、心は傷だらけ。でもその感覚が、鑑賞後もずっと心地良い。
 17歳のある日、リュカは大好きだった父親を突然亡くした。大きすぎる喪失感に打ち勝つべく、大都会パリへ行ってみたり、アバンチュールしてみたり、いけないことに手を出してみたり。果敢に人生に挑むけれど、結果は常に返り討ち。
 ただし映画は、そんな彼の行動を「若いな」と客観視することも、傷つく姿から目をそらすことも許さない。ただひたすら、美しい傷だらけの少年と共に、不安定な時を生きる。何をするか見当もつかない、危うい少年を見つめた時間は懐かしく、至福の時だった。リュカ役のポール・キルシェ、素晴らしい役者さんでした。監督はクリストフ・オノレ。(桜坂劇場・下地久美子)