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多彩な技巧で観客魅了 琉響定期演奏会 チェロ・水野と協演


多彩な技巧で観客魅了 琉響定期演奏会 チェロ・水野と協演 現田茂夫の指揮でエルガーの「チェロ協奏曲ホ短調作品85」を演奏する水野優也(中央)と琉球交響楽団=9日、浦添市のアイム・ユニバースてだこホール大ホール
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 琉球交響楽団(琉響)による第47回定期演奏会が9日、浦添市のアイム・ユニバースてだこホール大ホールで開かれた。シベリウスの楽曲のほか、チェリスト・水野優也を迎えて、エルガーの「チェロ協奏曲ホ短調作品85」を演奏した。新進気鋭の奏者として活躍する水野の多彩な技巧が多くの観客を魅了した。指揮は神奈川フィルハーモニー管弦楽団の名誉指揮者・現田茂夫が務めた。
 1部はシベリウスの交響詩「フィンランディア」作品26で幕開けした。同曲は19世紀末から20世紀初頭、ロシアの圧政下に置かれるフィンランドにおいて、愛国心を込めて作曲された。金管楽器による厳かな序奏から、次第に緊張感が高まる演奏が展開された。後半は曲調が一転し、快活な音色が心地よく披露された。
 続いてエルガーの「チェロ協奏曲」を演奏した。水野は同曲で第89回日本音楽コンクール本選会「チェロ部門」の1位を決めた。冒頭で水野は抱きかかえるような姿勢でチェロと一体化し、慈愛に満ちた、つややかな独奏を聴かせた。オーケストラのふくよかな音色と呼応し合い、現田の軽快な指揮とともに魅了した。
 アンコールに応えた水野はバッハの「無伴奏チェロ組曲第4番より『サラバンド』」を披露し、来場者から拍手喝采を浴びた。
 最後の演目はシベリウスの作品から「交響曲第5番
」。深い闇から光へと向かうような解放感や、北欧の壮大な自然を連想させるような美しい旋律が厚みを増して響き渡り、清澄な美しさが広がった。
 10日には第48回の定期演奏会が名護市民会館大ホールで開かれ、シベリウスの同2作品と日本を代表するフルート奏者・上野星也を迎えて、イベールの「フルート協奏曲」を演奏した。 (田中芳)