台湾地震　７００人孤立　死者１０人、負傷者１０００人超

　【花蓮共同＝渡辺靖仁、柴田智也】台湾東部沖で３日朝に発生した地震で地元当局は４日、被害の大きい東部の花蓮などで救出活動を続けた。消防当局によると死者は１０人、負傷者は千人余りで約４０人と連絡が取れていない。交通が寸断され約７００人が孤立。４００回以上の余震を観測し、主に山間部での作業が難航している。　（６、２２、２３面に関連）
　約７００人のうち、６００人余りは花蓮の有名観光地、太魯閣（タロコ）国立公園のホテルなどから動けずにいる。安全は確認されたという。ただ太魯閣には連絡の取れない人も３０人以上いる。
　台湾外交部（外務省）はカナダ国籍１人、オーストラリア国籍２人と連絡が取れていないと明らかにした。邦人が行方不明になっているとの情報はない。
　消防当局によると、台湾全体で建物の損壊が約７７０件、電気・水道などのインフラの被害が約５００件、火災が９件、土砂災害が２３件あった。
　花蓮中心部で倒壊したビルに閉じ込められた人を救い出す作業はほぼ終わった。倒壊した５階建てビルに住んでいた呉声輝さん（６５）は「地面にたたきつけられるような揺れで１階の食堂がつぶれた。２階の窓から逃げた」と話した。食堂には当時２０人弱の客がいた。「娘も倒壊する３秒前に外に逃れた」と胸をなで下ろした。
　陳建仁行政院長（首相）は４日に花蓮入りした。救出活動に全力を注ぎ、復興に向け地方政府への財政支援を行う考えを表明した。
　気象当局は、今後数日間でマグニチュード（Ｍ）６・５～７・０の余震が発生する可能性があると指摘。花蓮には週末にかけて雨の予報が出ており、山間部での土砂崩れや落石に警戒を呼びかけている。