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国の10基金 「無駄」で廃止 千数百億円を国庫返納へ


国の10基金 「無駄」で廃止 千数百億円を国庫返納へ 廃止や国庫返納を調整する主な基金
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府は、中長期的な政策推進のため積み立てた基金の総点検を巡り、事業が事実上終了している約10の基金を廃止する方向で調整に入った。管理費だけの支出が続き、無駄と判断した。存続を認める場合も不用額を割り出し、国庫返納させる余剰金は計千数百億円となりそうだ。今月下旬に開くデジタル行財政改革会議に点検結果を報告する見通し。政府関係者が7日、明らかにした。
 国が所管する基金は現在、180超ある。新型コロナウイルス対策で積立額が膨らみ、全体の残高は2022年度末時点で計約16兆6千億円。継続的な施策に財源をまとめて確保できる一方、不要不急の出費につながりやすいとの指摘がある。岸田文雄首相が昨年12月、全基金の点検を指示していた。行財政改革に取り組む政権の姿勢をアピールする狙いがある。
 廃止を調整している基金は、電気自動車(EV)充電設備を設置する「省エネルギー設備導入促進基金」、農林漁業者が発電事業を行う「地域還元型再生可能エネルギーモデル早期確立基金」、東京電力福島第1原発事故で企業立地が落ち込んだ地域を支援する「環境対応車普及促進基金」など。いずれも補助金や助成金の交付を終え、管理業務だけになっている。
 残りの基金は成果目標や終了時期の明記を徹底することを条件に、事業継続を認める。
 国庫返納の対象となるのは、新型コロナのワクチン開発や国内流通を促進する「ワクチン生産体制等緊急整備基金」。残高は22年度末で1兆4095億円に上る。このうち約1千億円は使う見通しがないと判定した。
 新型コロナで業績が悪化した中小事業者向け融資に関する「新型コロナウイルス感染症基金」も100億円以上の余剰が出る見込み。精査次第で返納の総額は2千億円近くになる可能性もある。