<金口木舌>花がつなげた機運


社会
<金口木舌>花がつなげた機運
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 大宜味村喜如嘉に春の訪れを告げる花はオクラレルカ(アイリス)。生け花用に人気が高い。農家がい草の代わりに田んぼに植えたのが始まりといい、春の風物詩として定着した

▼花言葉は「良い知らせ」。一面の紫色のじゅうたんは新年度のスタートにエールを送るよう。今年の見頃は過ぎたが、4月上旬にかけて、花目当ての見物客が村内外から訪れる
▼この時期に合わせ、工芸作家による展示即売会「いぎみてぃぐま」が開かれる。「いぎみ」は大宜味、「てぃぐま」は手先が器用な人を指す。21回目の今年は12~14日に開かれ、活況を呈した
▼二十数年前に村内の陶芸作家が結成した「陶炎会」という集まりがきっかけ。花が咲く田んぼの脇でテントを張り、陶芸品をPRした。現在は木工や紅型、飲食などさまざまな「手仕事」を見て、楽しめる催しに成長した
▼村内に若手の工芸作家も増えたのも、発表の場があってのこと。実行委員の山川均さんは大宜味を「ものづくりのパワースポット」だと表現する。花がつなげた工芸発展の機運が広がる。