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華やか 節目の歌三線 安冨祖流文化財指定50周年公演


華やか 節目の歌三線 安冨祖流文化財指定50周年公演 県指定無形文化財「沖縄伝統音楽安冨祖流」保持者らによる斉唱=13日、浦添市の国立劇場おきなわ
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 県の無形文化財に「沖縄伝統音楽安冨祖流」が指定されて50周年の節目を記念した第5回保持者公演「絃聲一体―新たな絃聲の継承―」が13日、浦添市の国立劇場おきなわで行われた。人間国宝の西江喜春と大湾清之をはじめ、安冨祖流の保持者や伝承者ら100人以上が出演し、節目の公演を華やかな音色と歌声で飾った。

 保持者らによる「暁節」と「瓦屋節」といった夜明けの別れをつづった歌で静かに幕開け。ほの暗い舞台が徐々に明るくなり、歌の世界観を表現した。熟練した保持者らの味わい深い歌声が歌に奥行きを与えた。

 保持者による独唱では、西江が安定した張りのある声で「赤田風節」を歌った。続く玉城正治の「本調子仲風節」は、伸びやかな高音が美しかった。大湾は「本調子述懐節」を披露。滋味深い中低音や安冨祖流らしい抑揚が心地よく、聞き応えがあった。

 2部は伝承者による演奏を中心に披露した。総勢90人近くの斉唱では「赤さこはでさ節」など、華やかな楽曲を演奏した。女性の独唱は、澤井毎里子の「干瀬節」が印象的で、美しい高音の一方で厚みもある中音がバランスが良かった。男性の独唱は幸喜信明の「散山節」が、安定した抑揚と音高でじっくりと聞けた。

 斉唱で舞踊曲を2題届けた。女性地謡の「金細工」は華やかな声が物語を引き立てたが、少々軽快さに欠き、全体的にもたついた印象も受けた。「加那よー天川」は、玉城盛義と東江裕吉の軽快な舞に斉唱も寄り添い、最高潮の盛り上がりで幕を閉じた。

 公演に先立って記念式典が開催され、安冨祖流の発展に貢献した保持者らに顕彰状や感謝状が贈られた。保存会会長の西江は安冨祖流の正しい継承と発展を誓い「いつまでも歌って三線が弾ける世の中であってほしい」と語った。

(田吹遥子)

人間国宝の西江喜春
人間国宝の大湾清之