<金口木舌>「作者のメッセージ」


社会
<金口木舌>「作者のメッセージ」
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 山崎貴監督の「ゴジラ―1・0(マイナスワン)」がアカデミー賞で視覚効果賞に輝いた。現実に起こっているように編集するVFXの技術力と低予算化が高く評価された

▼第五福竜丸事件に着想を得た第1作から70年。ゴジラは怪獣映画の枠を超え、原爆や核問題と合わせて語られてきた。普遍的な問いを投げ掛け、色あせない
▼日本文化を代表する漫画のヒット作にも人権問題を考えさせる要素がある。世界で人気の「ワンピース」は権力や差別を問う場面が出てくる
▼県立博物館・美術館で原画展が開催中の「キングダム」もその一つ。中国の初代始皇帝を題材に戦争を描いている。物語の背後に、人が人を傷つけない世をつくるという理想をしのばせている。作者の原泰久さんは複雑な思いで現在の国際情勢を見つめていることが、インタビューでも感じられた
▼デジタル製作に進んだゴジラと同様に、漫画もデジタル化が進む。それだけに原さん直筆の原画展は一見の価値がある。描線の向こうにある作者のメッセージにも触れてほしい。