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辺野古サンゴ 県敗訴確定 最高裁が上告不受理


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設に向け、沖縄防衛局が進めようとする大浦湾からのサンゴ類の移植を巡り、農相が県に特別採捕を許可するよう「是正の指示」をしたことは違法だとして、県が指示の取り消しを求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(宮川美津子裁判長)は県の上告受理申し立てを受理しない決定をした。県の敗訴が確定した。決定は25日付。辺野古を巡る訴訟で県側の敗訴確定は9件目。 (2面に関連)
 玉城デニー知事は26日、最高裁の決定を受けて「司法が何らの具体的判断も示さずに門前払いをしたことは、極めて残念だ」とのコメントを発表した。また、この決定を受けて防衛局が求める、サンゴ類の特別採捕許可について「審査を開始しているところであり、今回の不受理決定を踏まえ対応する」とした。
 国は昨年9月、辺野古の軟弱地盤改良工事の設計変更に関する国の是正指示が争われた訴訟で、最高裁が是正指示の適法性を判決で確定させたのを受け、代執行の手続きを経て工事に踏み切った。今回の訴訟でも知事が是正指示に従わない場合、国が再び代執行に踏み切る可能性がある。
 福岡高裁那覇支部での控訴審判決によると、沖縄防衛局は22年7月、軟弱地盤がある大浦湾側のサンゴ類約8万4千群体を移植するための特別採捕許可を申請。県が不許可としたが、農相が23年3月、許可するよう県に指示した。判決では、この是正指示について、適法で有効と結論付けていた。
 県側の代理人を務める加藤裕弁護士は同日、本紙の取材に「これまでの一連の訴訟にもいえるが、地方自治が守られるか否かが問われた裁判だった。最高裁は最後まで向き合わなかった」と述べた。