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人を思い続ける年月 青春18×2 君へと続く道 シネマライカム・公開中


人を思い続ける年月 青春18×2 君へと続く道 シネマライカム・公開中 シネマFOCUS/シネマライカム/青春18×2君へと続く道
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 映画のロケ地をめぐる旅というのを一度はやってみたいものだと思うのだが、映画の中で旅した気分になって満足してしまう。ずぼら性格が災いしてまだ行けていない。
 映画は台湾と日本の合作。上質なラブストーリーだ。映画の冒頭から人生に躓(つまづ)いてしまったジミーの、怒りと後悔と焦燥が描かれる。屈託なく笑う青年に何があったのか。台湾でのアミとの出会いから、傷ついた心身を抱えながらアミの生地に向かうまでの18年をジミーと一緒に旅をする。
 人が人を思い続ける年月は、日常の些事(さじ)にまみれながらも色あせることなく続く。元気であってくれ、幸せであってくれと、祈る相手のいることは、届かずとも祈る側の人生を豊かにしてくれる。子供は愛されることで育つが、大人は愛することで成長するのだとつくづくと映画を観ていて思うのだ。
 作品の愛(いと)おしさに相乗して今すぐにでも旅がしたくなる。2人が食べるおいしそうなものを食べに台湾へ。銀世界がまぶしいアミの生まれた福島へ。監督は藤井道人。(スターシアターズ・榮慶子)