有料

実質賃金減 過去最長 24カ月、リーマン期超え


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 厚生労働省が9日公表した3月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、物価変動を考慮した1人当たりの実質賃金は前年同月から2・5%減った。マイナスは24カ月連続。リーマン・ショックなどにより景気が低迷していた時期を超え、過去最長を更新した。 (4面に関連)
 名目賃金に相当する現金給与総額は27カ月連続のプラスだが、0・6%増の30万1193円にとどまった。円安や原油高を背景とする物価高騰に賃金上昇が追い付かない状況が2年に及び、家計悪化が止まらない。
 2024年の春闘では大企業を中心に賃上げが相次ぎ、統計調査には早ければ4月分から反映され始めるとみられる。ただ、財務省の調査では中堅・中小企業での5%以上の賃上げは24・4%と限定的だった。円安進行や原油高で輸入品、エネルギーの価格などが上がる中、実質賃金がプラスに転じるタイミングは見通せない。
 3月の消費者物価指数が3・1%上昇し、名目賃金の伸びとの差し引きで実質賃金はマイナスとなった。マイナス期間は、リーマン・ショック前後の07年9月~09年7月の23カ月を超え、比較可能な1991年以降で最長となった。