とある教室での出来事を、オーケストラのコンサートのように描いたドイツ映画。マエストロは担任教師のカーラ。朝の教室は、コンサート開演前のチューニングのように、子供たちがワイワイガヤガヤ。マエストロが指揮棒を振り上げた瞬間、生徒たちは、カーラを見つめ、教えられたリズムを奏ではじめる。
しかし、美しい旋律を奏でるには、彼らは問題を抱えすぎていた。カーラをはじめ、その中学校の教員たちは、相次ぐ盗難事件に頭を悩ませている。カーラのクラスの生徒が疑われたことでクラスに不協和音が広がる。やがてそれは学校全体を巻き込む。カーラは奮闘するけれど、不協和音の広がりを止めることができない。
ただし、この映画の真の指揮者は監督。絡み合う旋律に不穏な感情をため込み続けた登場人物たち、そして観客を、極上のエンディングへ誘う。計算し尽くされた演奏に、スタンディングオベーション。そんな完璧なラストだった。監督はイルケル・チャタク。(桜坂劇場・下地久美子)
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止められない不協和音 ありふれた教室 桜坂劇場・きょうから
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琉球新報朝刊
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