有料

経験重ね舞台に深み 「奥山の牡丹」 沖縄芝居研究会


経験重ね舞台に深み 「奥山の牡丹」 沖縄芝居研究会 命を絶ったチラー(伊良波さゆき)を抱く山戸(金城真次)=12日、パレット市民劇場
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 沖縄芝居研究会(伊良波さゆき代表)は12日、「奥山の牡丹(ぼたん)」(伊良波尹吉作)などを那覇市のパレット市民劇場で上演した。主人公チラー(さゆき)と息子山戸(金城真次)の親子愛を軸に描いた悲歌劇の名作。さゆきと金城は6年前にも同じ役を演じているが、経験を重ね、より深みのある舞台を見せた。
 身分の低いチラーと士族の三良(嘉数道彦)との間に山戸が生まれるが、チラーは2人に迷惑をかけまいと姿を消す。成長した山戸は母を捜し出すが、チラーは自分がいては子の出世の邪魔になると感じ、苦悩の末に自ら命を絶つ。身分差別に引き裂かれた親子の姿に、客席からすすり泣く声が聞こえた。
 同研究会は沖縄芝居の大道具・舞台美術製作の後継者養成にも取り組んでいる。今回も美術担当が、この分野の第一人者である新城栄徳と共に大道具・美術を担った。演技だけでなく裏方の仕事にも目を向けて継承を図る活動は特筆すべきもので、今後も取り組みに期待したい。 (伊佐尚記)