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離婚後の共同親権 法成立 DV対策に課題残す 養育費「義務」新制度


離婚後の共同親権 法成立 DV対策に課題残す 養育費「義務」新制度 離婚後の共同親権を導入する民法改正案を可決した参院法務委=16日午後
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

離婚後共同親権の導入を柱とする改正民法が17日、参院本会議で自民、公明、立憲民主、日本維新の会各党などの賛成多数で可決、成立した。1947年から続く離婚後の親権制度の在り方が初めて見直される。離婚の増加などで家族関係が多様化する中、子の利益の実現のため、別れた後も父母双方が養育に関わることができるようにするのが狙い。 (6、22面に関連)
ドメスティックバイオレンス(DV)や虐待の被害継続への懸念は根強い。父母が折り合えない場合に調整に当たる家裁の態勢整備が、喫緊の課題になる。公布から2年以内に施行する。
これまで離婚後は父母どちらか一方を親権者にすると定めていたが、共同親権も選択可能となり、父母の協議で決める。意見が対立した場合は家裁が判断するが、DVや虐待の恐れがある場合は単独親権と規定。離婚した父母も共同親権への変更申し立てができる。
共同親権下でも「急迫の事情」や「日常の行為」に当たる行為は、片方の親だけで意思決定ができる。用語の定義について政府は内容の具体化を進める。
国会審議では、不本意な合意を強いられる可能性が懸念され、付則に「父母の真意を確認する措置を検討する」と盛り込まれた。施行5年後の見直し規定も追加した。
参院本会議の討論で、共産の山添拓議員は、一方の合意がなくても共同親権とできる点を問題視。立民の牧山弘恵議員は「もろ手を挙げて賛成しているわけではない」と述べた。採決では、ほかに国民民主党などが賛成し、共産党やれいわ新選組は反対した。
このほか、続発する養育費不払いへの対策として、離婚時に取り決めがなくても最低限の支払いを義務付ける「法定養育費」を創設。家裁が調停手続きなどの早期段階で、別居親との「親子交流(面会交流)」の試行を促す新制度も設けた。