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イラン大統領ら事故死 ライシ師 ヘリ墜落、外相も 最高指導者の最有力候補


イラン大統領ら事故死 ライシ師 ヘリ墜落、外相も 最高指導者の最有力候補 20日に発見された、イランのライシ大統領らが乗ったヘリコプターの残骸(イラン赤新月社/アナトリア通信提供・ゲッティ=共同)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【テヘラン共同=渡会五月】イラン北西部の東アゼルバイジャン州で19日、ライシ大統領(63)が搭乗したヘリコプターが山中に墜落した。イラン政府は20日、ライシ師と、同乗のアブドラヒアン外相(60)らが死亡したと発表した。悪天候による事故だったと説明した。国営メディアによると、ヘリに乗っていた8人全員が死亡した。最高指導者ハメネイ師(84)は20日、モフベル第1副大統領を大統領代行に任命した。 (3面に関連)
 イランでは最高指導者が国政全般の決定権を持ち、ライシ師は3代目最高指導者の最有力候補だった。有力候補を失い、指導部への打撃は必至。大統領選は50日以内に行われる見通し。
 イランはイスラム教シーア派大国で米国やイスラエルと対立しており、今後の展開によっては中東地域の情勢が混沌(こんとん)とする恐れがある。ライシ師と同様、モフベル氏も保守強硬派。
 ハメネイ師は、5日間は国中で喪に服すと表明した。「悲劇的な出来事で、イラン国民は誠実で貴重な奉仕者を失った」と惜しんだ。
 バヒディ内相は霧が原因で、ヘリがたたきつけられるように着陸したと説明した。捜索は難航し「大雨で視界が非常に限られている」と語っていた。国営メディアによると、外相代行はバゲリ外務次官が務める。
 関係筋によると、国防、外交の政策全般を統括する最高安全保障委員会(SNSC)は19日に緊急会合を開いた。ハメネイ師が異例の出席をした。
 ライシ師は19日、東アゼルバイジャン州とアゼルバイジャンの国境地帯で同国のアリエフ大統領と共に、共同開発ダムの落成式に出席した。3機編隊で北西部タブリーズに戻る途中だった。